チャチャ・タワーは、ジョージアのバトゥミに位置する高さ25メートルの特徴的な時計塔で、2012年に完成しました。設計は、1901年にフランス人建築家レイモン・ペレが手掛けたトルコ・イズミルのオスマン様式の時計塔を意図的に再現したものです。この塔は建築的特徴だけでなく、ジョージアの伝統的な蒸留酒「チャチャ」との独特の結びつきでも際立っています。
チャチャは、ワイン醸造後のブドウの搾りかすから蒸留される強いお酒で、約8000年にさかのぼるとも言われるジョージアの古いワイン造りの歴史と深く結びついています。チャチャ・タワーはこの遺産を称え、当初はチャチャが注がれることを想定した四つの噴水を備え、訪問者にこの象徴的な酒を無料で試飲させる趣向が設けられていました。
「噴水塔」とも呼ばれるこの塔は、百年以上前にバトゥミの海岸線に立っていた同様の建造物への現代的なオマージュです。塔の最上部には展望プラットフォームがあり、訪問者はバトゥミの海岸線を一望できましたが、チャチャを求める人々に向けた機能は長続きしませんでした。2015年頃の報道では、噴水は稼働していないと伝えられています。
かつては観光案内所がにぎわっていた場所も、その後はやや寂れた様子を見せています。バトゥミの黒海沿いにあるミラクル・パークに立つこの塔は、維持管理がほとんど行われておらず、時計も止まっている状態で、計画的に整備された周辺の景観とは対照的に、実現しなかった壮大な構想の奇妙な名残となっています。
現在、チャチャ・タワーは文化的誇りと達成しきれなかった可能性の象徴であり、そうした壮大なプロジェクトの野心と儚さを体現しています。当初の約束を完全には果たしていないかもしれませんが、それでもバトゥミの都市物語における重要で考えさせられる一部として残っています。
