ウシュグリに位置するウシュグリ民族博物館は、スヴァネティ地方の古来の習俗と伝統を伝える場です。博物館はmachubi(13世紀のスヴァン様式の石灰岩造りの建物)に収められており、かつての住民の生活を忠実に再現しています。
machubiは単なる住居ではなく、生活様式そのものでした。寒い冬には人々と家畜がともに過ごす共同空間として使われ、人と家畜は"gvali"と呼ばれる木の板で仕切られていました。二階建てのドーム型の住居は石と木で造られ、踏み固めた土の床や、芸術性と宗教的意味合いを感じさせる装飾が施されていました。
館内の二階には古い木製の寝台や、ヤギや羊のためのドーム状の区画、古い炉、そして調理器具のある"bojari"(オーブン)が展示されています。ほかにも古いスレートの貯蔵庫、スヴァンのゆりかご、そして1700年の歴史を誇るスヴァンの織機といった、今日まで残る希少な遺物が揃っています。
博物館ではスヴァンの暮らしぶりやmachubiにまつわる風習について学ぶことができます。武器や農具、宗教用品から古い木製家具、鉄や陶器で作られた日用品に至るまで、多彩な民族資料が展示されています。
さらに、博物館はスヴァネティでの数々の考古発掘で出土した遺物も所蔵しています。ジョージアの金属工芸やイコン、古い文字資料など、地域の豊かな歴史の一片を伝える貴重な品々が展示されています。
ウシュグリ民族博物館を訪れることは、時間を遡る旅のようにスヴァンの知恵とたくましさ、そしてかつての人々と自然との結びつきを実感する機会です。古代スヴァンの独創性は、現代の暮らしのありがたさを改めて感じさせてくれるでしょう。
